登記事項証明書・・・なんだか難しい名前です。登記簿謄本とも言います、こっちが一般的ですかね。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、不動産の情報が記載されたものです。
インターネットが普及して、以前は紙として保存されていた不動産情報(登記簿謄本)がデジタル化されました、それで紙媒体でなくなったので名前が変わりました。
でも今でも普通に登記簿謄本で通用します。
法務局に保管されている不動産情報
正確には会社(法人)も登記事項として法務局に情報が保管されていますが。ここでは不動産登記についてお話させていただきます。
世の中の、ここの土地は○○さんの土地、あの家は△△さんの物、そういった不動産関係の土地建物を正式に証明する情報です。法務局にしっかりと情報が保管されています。
なのでそんな簡単に書き換える事ができません。書き換える場合は(売買などで)間違いなく本人(所有者)だと証明していかなければなりません。
そういえば最近地面師といった詐欺グループが、本人になりすまして不動産を不正に売却する事件がありました。普通はそんな簡単には出来ません。
書類を偽造し、複数人で入念な計画の上、行うのですね。買主さんは騙されないようにしなければいけませんし、仲介の不動産屋も慎重に本人確認をしなければいけませんね。
登記事項証明書(見本)
さてそんな登記事項証明書ですが、下記写真が見本です。こんな感じの書類です。
難しそうですが、見かたはいたって簡単です。
では順番に・・・。
登記事項証明書の見かた
書類は最大四つに区切られています、モノによっては上二つしかない場合もあります。
まず一番上段、①表題部。この書類がどこの土地や建物の情報なのか記載されています。
住所に相当する地番、建物なら家屋番号。広さやいつ建ったのかなどが書かれています。
二段目は②権利部(甲区)。所有権にかかる情報です。誰が持っているのか。具体的な氏名が出てきます。なんと住所も書いてあります。
そしてこの欄に「差押」などと書いてあると、おおっ!?何があった!?です。後ほど書きますが銀行などがお金を貸していて(ローンなど)返済に窮すると差押えが起こります、放っておけば競売の上この権利部(甲区)の欄に新しい所有者の名前が記載されます(所有権移転)。
なかには市町村が差押えている場合なども有ります。
税金滞納したのかな・・・ぉぃぉぃ。
ちなみに市町村など公官庁が行う競売のようなものは公売と言います。
この登記事項情報はどんどんと順番に書き加えられていきます、そしてこの見本には有りませんが下線が引いてある場合は、すでに過去となった情報で、今現在はその情報は有効ではありません。でも記載があることでこの土地建物の歴史がわかります。
先ほどの「差押」の記載も、下線が引いてあれば今現在は差押えは抹消されているということです。昔はやんちゃやってたという前歴です、武勇伝?忘れたい過去かもしれません・・・。
三段目は③権利部(乙区)、所有権以外の権利に関する事項。抵当権です、要は金貸しの情報です。
何処の誰がいくら貸しているか、金利何%で延滞したら損害金金利何%で・・・まぁ事細かに書いてあります。
こんなに細かく書いてなくてもいいのではないか、というくらい書いてあります。
これも下線部が引かれていれば抹消されているということですから、過去にン千万の借金をしていた事とかがバレてしまいます。いや今現在の借金の金額も判ってしまいます。
ダンナが黙って家を抵当に入れて借金してた。
怖いですね~。
最後に四段目、④共同担保目録。なんだかわかりにくい名前ですが、三段目にあった金貸しに必要な担保が、この土地建物だけでは足らず、もっと他の土地建物にも抵当権が設定されていますよとの情報です。
この土地とその土地とあの土地とこの建物、全部ひっくるめて○千万貸し付けてやる!
払えなかったら全部いただくからね(そういうことです)。
なのでここに書かれている他の土地建物の登記事項証明書を見ると、全く同じ情報が記載されています。
自宅をローンで買うと通常、土地と建物に抵当権が設定されます、そうすると見本のように共同担保目録には1番2番と二つ記載がされるということです。
登記事項証明書と個人情報
さあ、ここまでが登記事項証明書の読み方でした。最初はとっつきにくい書類ですが、慣れてしまえばどうって事はありません。
ここまで説明して、わたくしが思う事ですが。いや普通の方なら感じると思うのですが。
ずいぶん個人情報が流れているのね、って思いませんか?
さすがに電話番号などは判りませんが、住所氏名はばっちりわかります。相続などが発生して所有権移転登記をすれば、いつ頃亡くなったのかも判りますし、相続した人も判ります。
さらには相続した割合なんかも記載されますから、兄弟が何人いるのかなども推測出来たりします。
そして最後にこの登記事項証明書は誰でも取得できます。法務局行って数百円払って申請すれば誰でも見ることが出来るのです。最近はネットなどでも取得できます。
ちょっと驚きますよね・・・。
なんでこんなに開けっぴろげなんだろう・・・?
犯罪の温床になるのではないか、住所を特定されて、悪い人に悪用されたりしないのだろうか、思いますよね。・・・でも逆なのです。
調べたら、ちゃんと法律の条項にありました。
それも不動産登記法なる法律(初めて知った)第1条です。
- この法律は、不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度について定めることにより、国民の権利の保全を図り、もって取引の安全と円滑に資することを目的とする。<不動産登記法>
なるほど、開示することで嘘偽りが無いよということを知らしめるためということですね。
さっきの地面師のような奴らが暗躍してはならないのです。
土地建物の所有者はしっかりと登記をして公示し、これは自分のモノだと主張、保護されるということです。
そんな大切な登記事項証明書でした。
ご興味ある方はご自身の住む土地建物を調べてみてください、その登記事項証明書にはあなたの知らない歴史が書いてあるかもしれません。
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