退居明け渡しエピソード

不動産屋のお仕事
お部屋を蹴ってはいけません

賃貸物件は借りているお部屋です。自分のものではありません。

借りているのだから、丁寧に扱いましょう。
当たり前の事だと思うのですが、たまに当たり前と思っていない入居者様がいらっしゃいます。
いや、借りている事はわかっているが、借りているモノを丁寧に扱うという事を知らない方々がいらっしゃるのだろうか。

乱暴者のお話

借り物のお部屋を、いったいどうしてこうなった!?というくらい乱暴に扱う入居者様がいらっしゃいました。
賃貸物件はちょっと漫画本を借りるのとは違い長期間です。長期間だからこそ扱いが雑だと、傷みが重症化し復旧(原状回復)に多大な費用と時間がかかります。
できることならやめたほうが良いです、その借りは最期に大きなしっぺがえしとして自分にかえってきます。

賃貸借契約は退去時の原状回復義務(元通りにすること)が必須です、それが記載されていない契約書は皆無でしょう。
やっちまった、ぶっ壊した壁の穴は弁償しなければなりません。放っておいた浴室のひどいカビは、まともには落とせないかもしれません。

過去たくさんの退去の立会をしてきました、その中でも、これはすごいな、という退去時のエピソードを今日は一つ・・・。

家賃持参を拒否した入居者様と親御様

弊社は学生入居者様には事務所へ家賃持参をお願いしています。

学生様にはある程度保護下にあること、親元を初めて離れたとしても、放免になっている訳ではない事を自覚してもらう為でもあります。

今回の事件の主人公は、保証人である親御様を含め、入居時よりその家賃持参に否定的で、家賃に関しては親元より振込となっていました。
当初は弊社も反対はしておりましたが、母親は頑として本人の持参を拒否し、本人もお母様の言いなりという感じで、特に自分の意見を主張するような学生さんではありませんでした。
仕方なしに当方も家賃振込みを承諾し、毎月の家賃は滞ることなく振り込まれ、問題無く、彼の大学生活は順調に続いていきました。

彼と会うのは一年に一回だけ、更新手続きの時だけでした(弊社の学生様契約は1年間で、毎年更新手続きの為に来店してもらいます)。
でもそれさえも来店せずに更新手続きが延滞し、ご実家へ契約書を郵送したりして解決した年もあったような気がします。

そして6年半が経過

どんな性格の入居者様だったかも把握出来ない状態となり、なんとなくやばい入居者かもしれない・・・という、一抹の不安が出てきました。

4年が過ぎ順当にいけば今年退去の年という時に、彼は更新をし、結局6年半入居しておりました。
なぜ6年半もの間いたのかはわかりません、特に最近はそのへんは聞かないことにしています。

留年したかもしれませんし、大学院に行っていたのかもしれません。
はたまた卒業はしたものの、就職先がこの近所でそのまま継続して住み続けていたなんて場合もあります。

ついに退居立会の時

そしてついに6年半経った退去の日、彼の部屋を見てわたしは言葉を失いました。

彼が入居した物件は比較的築浅物件で、室内も綺麗で家賃もそれなり、ボロボロのアパートとは比べものにならないくらい設備備品も良いモノを使っており、過去この物件に住まわれた入居者様は、原状回復という点では 問題無い方がほとんどでした。
それが、彼の場合は退去立会に行った当日、信じられないくらい室内すべてがボロボロになっており、え?この部屋どうなってるの!?というくらい、6年半前とは変わり果てた室内にわたしは唖然としました。
ベッドや洗濯機や冷蔵庫など、生活道具はすべて無くなっていましたので、からっぽになった室内を見ただけですが、これは相当すざまじい暮らしをしていたな、と判断できました。

絶句

悪の権化はすでにその場から無くなっているものの、その存在を残り香が主張しているキッチンや、
暮らしの中の導線だけがケモノ道のように綺麗に跡が有り、そのほんの数センチ脇は埃がかぶりそれがそのまま床に張り付いて、歩行者はここを歩いてくださいと主張しているトイレまでの道のりなど、
6年間のこの部屋での彼の暮らしぶりが、普通の人では理解出来ないレベルだったんだぞという主張について、同意を求めているような、そんな状態のお部屋・・・。うぅ、すげぇ・・・。

退居当日はさすがにこのままでは、汚れが凄すぎて、設備備品が壊れているのか、だた汚れているのかすらの判断もできず、本人はまだ引っ越しまでに余裕があるようだったので、あと数日猶予をやるから少し部屋をキレイにしろと、キレイになったら明け渡しの立会いをすると約束しました。

惨状の確認

2日後に、部屋がきれいになったと連絡があったので、あらためて退居立会です。

覚悟は出来ていたつもりでしたが、お部屋各場所を確認していくと、惨状が次々とわかってきました。

重大な損害はキッチン回りでした。フローリングの床におそらく入居時にキッチンにキッチンマットを敷いたのでしょう

彼のようなずぼらな性格だと、キッチンを使ってこぼれた水や食品の液だれなどがマットに染みて、それを放置です。
湿った状態だったキッチンマットの下のフローリングはみごとに表面が剥がれ、ガッサガサになっていました。

表面のコーティングが剥がれています

同じようにキッチン本体側面がボロボロに腐食しており、これもどういう理由かはわかりませんが、常に濡れた状態だった為に腐食したと思われます(理解できんオレには)
下の収納扉も腐食しており、もうこのキッチンセットは使い物になりません 。

キッチンセット、入居時はほぼ新品だったのですが、
手前クリーム色の側面は湿って膨らんでいます。中まで水が入っちゃってます。
キッチン扉、なんでこんなになるんだろう???

惨状のさらなる確認、めまいがしそう・・・

その他当然のように居間の壁紙はキズだらけ、フローリングもキズだらけ、玄関扉内側がカビだらけ(どーして?なぜ?)、付属下駄箱扉取れるし、玄関扉のクローザー壊れているし(こんなもん壊すか?)・・・間仕切りの扉もついでぐらいに凹んでいるし・・・ なんて雑な使い方をするのだろう。

下駄箱、わかりにくですが左側扉は壊れています。
手前の白くなっている場所は、万年床や湿気た絨毯などが置いてあったと推測されます。
リフォームが難しい損害です。
玄関ドアクローザーが破壊
間仕切戸、かなり頑丈な立派な扉。普通壊れないヨ・・・

本人に問い詰めるも「どうもすいません・・・」 それだけかいっ!!

あんなに綺麗だった部屋が、あんなに綺麗だった部屋がぁぁあ!
覚悟してきたものの、めまいがするような部屋に、退去手続を行う段取りを阻まれ、通常はこの場で敷金やらクリーニング代やらの清算を済ませ、はいさようなら。なのですが・・・

これは簡単にはいかないと、今日は退去明け渡しの確認だけで、改めて連絡する旨本人に通知し、彼は実家に戻っていきました。

リフォーム費用の見積と原状回復

リフォーム業者に室内を見てもらい、交換すべきモノは交換、このまま直せは使えるだろうと判断できるものは修繕だけで対応します。

こんなにしやがったけど、なんとか安く原状回復出来るようにしてあげて、なんて優しい不動産屋なんだと、自分に言い聞かせ・・・ 原状回復のガイドラインなる国交省から出ているお達しを参考にしながら、オーナー様にご理解いただきながら、彼に請求書を突きつけました。

まあ彼に請求書を出しても、連絡をしてくるのは当然がならお母様で、

「ご迷惑をおかけしましたわ、おほほ・・・申し訳ありませんでございますのよ」(イメージです、あまりに衝撃的だったので覚えていません、若干フィクション入ってます)

支払いはすぐにしてきました。

すべて終えての感想

最初から築古の家賃の安めの物件に入居していてくれていたら、こんなに高額な原状回復費用にはならなかったと思います。そもそも入居時に傷んでいるからです。
なまじ綺麗な築浅の物件に暮らしたもんだから、こんなことになったのです。

管理不動産屋としては、とても気にしています。あんな物件に紹介するべき人では無かったんだということを。

でもご本人は綺麗な部屋に住めて満足だったのかもしれません、退去費用に関しても特に気にする事無く親御さんが出してくれてますから。

今、彼は元気でしょうか、実家での暮らしもあんなにめちゃめちゃなんですかね。

記憶に残るエピソードです

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