賃貸借契約には「連帯保証人」なるワードが度々出てきます。
賃貸借契約に限らず、何か契約をする場合・・・例えば銀行融資をする場合などにも連帯保証人を立てることになります。
今日はこの「連帯保証人」についてお話したいと思います。
連帯保証人と保証人の違い
連帯保証人の他に保証人というワードもあります。何が違うのか・・・。
連帯保証人は主債務者の債務をすべて負います。主債務者とは賃貸借では借主、住んでいる方です。
そして家賃滞納などが有った場合、債権者(貸主)は主債務者か連帯保証人かどちらにも請求することが可能です。連帯保証人は請求が来たならば、それに対して応じなければなりません、拒否する権利が無いのです。
それに対して、保証人は債権者からの催告に対して、まずは主債務者へ請求してくださいと言うことができるのです。
そして連帯保証人は、たとえ連帯保証人が複数いても、債権者はある一人に全額の請求が出来ます。対して保証人は保証人の数を割った分の債務しかありません、全額支払う必要は無いのです。
つまり連帯保証人の方が圧倒的に負担が大きいです、逆にそのような連帯保証人ですから、債権者としては保証人より連帯保証人を好みます。
わたくしが知る限りでは数ある契約のうち、連帯保証人でない場合は見たことがありません。
賃貸借契約における連帯保証人
いつからこの連帯保証人制度があるのかちょっとわかりませんが、上記のように連帯保証人は、とても大きな責任を負う事になります。
弊社の学生様向け賃貸物件の契約には、親御様が連帯保証人になっていただいております。
親御様ならばお子様の契約について連帯保証人になることぐらいは何も問題はありませんが、これがちょっと離れた親族、友人知人となってくると話は変わってくると思います。
一人暮らし向けの賃貸物件ならば、一ヶ月の家賃が数万円、3ヶ月滞納しても十数万円ってとこで、大きな債務とはなりませんが。店舗・事務所・大きな一戸建て賃貸などだと、数か月の滞納で数十万、へたすると100万単位の債務となってまいります。
これは連帯保証人としては相当なものです、うっかり友人・知人の連帯保証人を引き受けたら、ちょっと知らないあいだにとんでもない金額の請求が来た、そんな可能性も有ります。
人生が狂う連帯保証人制度
うっかり連帯保証人になったが為に人生棒に振るような人がいます。
自身の生命保険金をもって替えさせていただく、などという悲劇もあったりすると聞いたこともありますし。
そんな人生が狂うような方が出てくる連帯保証人制度なので、国がもうちょっとなんとかせねばという事になり、法律の改正をすることになりました。
今年4月1日より施行です。
でも債務者側に一方的な優遇ばかりしていたら、債権者側はだまっちゃいません。負債は負債としてれっきとして存在し、それを返済するのは当然のことですから。
そんなわけで、双方の言い分の間を取って、連帯保証人には極度額(限度額)を設定しましょう、というのが今回の法律改正のキホンとなるところです。
本当に間を取ったのかはわかりませんが。
極度額(限度額)の設定
極度額(限度額)って何だ?
賃貸借契約の条項の中で、連帯保証人について書いている条項にはこんな一文がかかれている事が多いです。
「連帯保証人は乙(借主)と連帯の上、本契約に生ずる一切の債務を乙と共に負うものとする」
弊社の契約書にも書いてあります。
どういう意味かと言うと、
住んでいる借主が家賃滞納したり、夜逃げしていなくなったりしたら、その家賃から退居費用から全部負担しろよ。ということです。
この「全部」が曲者で、全部だとどんだけ債務が発生しても、全部負担するわけで。
数千円だろうが、数百万円だろうが全部負担するわけです。
それでは連帯保証人さんはキツイだろうから、いくらって値段設定しましょうね。
というのが極度額です。
金額が記載されていますから(賃貸借契約では家賃何ヶ月分というのが一般的になりそう)、それ以上の債務は一切ありません、連帯保証人様安心です、何があってもその金額以上支払う義務はありません。
そうなると今度はその極度額(限度額)の設定が肝心で、賃貸借契約の場合だと家賃何ヶ月分にするのか・・・ってところが、今後の焦点となってまいります。
家賃○ヶ月分の極度額
現在、不動産業界ではいろいろ噂されております。
家賃の6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月・・・。
本契約の期間中すべての債権における極度額ですから、ちょこちょこ家賃滞納したりする入居者だったりすると、6ヶ月なんてすぐですよね。
弊社の扱う賃貸物件は家賃が2万円台などざらですから、ひとたび夜逃げなど起これば、極度額いっぱいまですぐになってしまいそうです。
ん~難しい・・・弊社としても今後の課題です。
まだ2ヶ月ありますので、その間に決めます。
今後もこの連帯保証人についての問題はたくさん出てくると思います。
ま、連帯保証人に迷惑がかかるような借主がいることが一番問題ですが・・・。
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